2023.6.13
障害福祉事業、特に「障害者就労継続支援B型サービス」について
障害福祉事業、特に「障害者就労継続支援B型サービス」について
弊社においては、新しく障害者福祉事業を始めたい、というご相談をいただくことがあります。
今回は、弊社において障害者福祉事業において最も問い合わせが多い、障害者就労継続支援B型サービスについて、特に経営の視点からコメントします。
障害者就労継続支援B型サービスは、一般企業などへの雇用が困難な障害者を対象に、雇用契約を結ぶことなく、就労のための練習・訓練を行うサービスで、最終的には、一般的な就労をめざします。
厚生労働省の令和2年障害福祉サービス等経営実態調査結果を基に、障害者就労継続支援B型サービス提供施設の財務状況を見ると、収益の93.2%が自立支援費等・措置費・運営費等となっており、国や市町からの給付金が大半を占めています。
一方、費用は、人件費が61%、他は減価償却費4.5%、委託費2.0%などで占めています。
収益と費用の差額をみると、全国の障害者就労継続支援B型サービス提供施設の令和元年度決算は、約233万円(収支差率6.0%)となり、平成28年度決算の約486万円(収支差率12.8%)に比べて大幅に低下しました。
このような財務状況の中であっても、利用者様一人一人が信頼して就労に向けて取り組めるよう、環境づくりに努める必要があります。
そこで、障害者就労継続B型サービスを始めるにあたって配慮が必要な点を3点申し上げます。
- 立ち上げ当初には十分な資金確保が必要です。
国等からの給付金は、最初の入金までに約2か月かかります。
その間の運転資金の確保が必要です。 - 給付金等については、ほぼ3年ごとに見直されます。
その都度財務上の見直しが必要です。 - 事業で得られた収益はすべて工賃として支払われるため、工賃支払額が、御社のサービスの質として評価されます。
そこで、利用者の確保、サービス向上に向けては、工賃向上に向けた不断の取組が求められます。